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名寄市立大学Web卒業式2019

学長告辞

令和元年度卒業証書・学位記授与式告辞

名寄市立大学学長 佐古和廣

 本日ここに学士の学位を授与された191名の卒業生の皆さん、おめでとうございます。この4年間、楽しいこともあったでしょうが、苦しいことも沢山あったと思います。それを乗り越え、晴れてこの日を迎えられた皆さんに、名寄市立大学教職員を代表して心からお祝い申し上げます。また、この日にいたるまでの長い年月、皆さんの勉学を支えてこられた保護者の皆様方のご労苦に対し、敬意と感謝の意を表します。

 本来であれば卒業生・保護者の皆様とともに本日卒業式を挙行する予定でありました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により北海道から2月28日非常事態宣言が出されました。また、専門家会議からは、感染していても症状の軽い患者が道内に940名程度(3月3日現在)いるという疫学的推計値が報告され、特に10~30歳代の若者が感染を広げている可能性が極めて高いとの指摘がありました。感染の拡大を防ぐには、人と人との接触を出来るだけ避けるため、多くの人が集まるイベント等の中止もしくは延期の要請がなされました。これらの発表を受け、苦渋の選択ではありますが卒業式の中止を決断いたしました。卒業式を楽しみにしていた卒業生の皆さんはもとより保護者の皆様にとりましても大変残念なことと思います。

 さて、名寄市立大学は、北北海道における女子高等教育の嚆矢として1960年に開学した名寄女子短期大学を母体に、地域の期待と時代の要請に応え2006年に「名寄市立大学」として新たに開学しました。短期大学時代から数えますと半世紀以上の歴史を重ね、これまで8667名の卒業生を世に送り出してきました。その卒業生の皆さんは、医療、看護、福祉、栄養、保育など様々な分野で活躍されています。皆さんも先輩の後につづき、本学で学んだ4年間の成果をこれから社会に還元することを期待いたします。

 2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶 佑先生の著書「がん免疫療法とは何か」で、一人の研究者として自立していくためには「六つのC」、すなわち、好奇心(Curiosity)、挑戦(Challenge)、勇気(Courage)、自信(Confidence) 、集中(Concentration)、継続( Continuation)が大切であると述べられています。この言葉は研究者に限らず、これから社会人として巣立っていく卒業生の皆さんにも言えることです。

 皆さんはこれまではどちらかというと知識の吸収が学習の中心であったかと思います。しかし、これから社会に出たなら自ら問いを立てる能力が求められます。広い視野を持ち、様々な情報を統合して深く考える能力です。それは言い換えると、何事にも常に「なぜ?」という好奇心を持つことです。人類のこれまでの成長・発展は、すべてこの「なぜ」から始まっています。主に知識力を問う学校の試験や成績ではそれほど大きな差は出なくても、社会に出てからその知識を活用する知恵の差はどんどん大きくなっていきます。

 もう一つの求められる能力は、新しいテーマにチャレンジし学び続ける自己変革力です。今日の知識は明日にはもう古くなります。この変化の激しいグローバル化時代には、基盤的で汎用性の高い能力と学び続ける継続性が何より大事です。

 日本は人口減少、少子高齢化という、今までどの国も経験したことのない未知の世界に踏み出しています。また世界的には、地球温暖化による気候変動や大衆迎合主義政治の台頭、あるいは今回の新型コロナウイルス感染症の世界的流行など世界情勢は不安定化しています。これからの不確実な時代、過去の結果が未来の結果を保証するものではありません。未来が過去の延長線上にあるとは限らないのです。このような時代こそ、確かな自らの価値基準を持つことが必要です。周囲に惑わされないしっかりとした判断基準です。では、その価値基準はどのようにしたら得られるのでしょうか。私は、それは教養であると考えています。

 教養とは、単に物をよく知っているということではなく、古典や哲学・歴史などを通した人格形成であります。古代から人間の本質には変わりなく、私たちの行動は「知と情」により規定されています。古典や哲学・歴史から人間の本質についての理解を深めることができます。戦争は無益であるとわかっていても、人類は何度となく繰り返し、今も世界の各地で争いが繰り広げられています。それは、情が知に勝っているからであります。教養は「この人間の本能を制御する」ものであります。将棋の羽生名人の言葉に、「勝負に一番影響するのは「怒」の感情である」というのがあります。感情には私たちを動かす大きな力があることも事実です。ですからなおのこと、この感情を知性でコントロールすることが必要なのです。

 本学の教育目標の一つは、「幅広い理解力・判断力を養う教養や社会問題への関心を持ち続ける心を育む」であります。これは当然4年間で完成するものではありません。これからの日々の生活で磨いていってください。その結果、周りから信頼される真のプロフェッショナルとして活躍している皆さんを見ることが私たち教職員の願いであり、また喜びであります。名寄市立大学で学んだ4年間の成果を糧に、皆さんがこれから大いに活躍することを心から祈念して告辞といたします。

令和2年3月19日
名寄市立大学学長 佐古和廣

送辞

令和元年度 卒業証書・学位記授与式送辞

保健福祉学部 社会保育学科 東叶恵

 3月も半ばに差し掛かり、名寄の厳しい冬も終わりを告げようと春風が吹いてくる季節となりました。本日、晴れて卒業式を迎えられる皆さん、ご卒業おめでとうございます。在学生を代表して心からお慶び申し上げます。

 今、先輩方との思い出を振り返ると、様々な場面で支えていただいていたことに気づきます。サークル活動や大学祭、球技大会をはじめとした大学行事では、豊富な経験や知識を生かし、私たちを引っ張ってくださいました。サークル活動では、ご自身の貴重な時間を割いてサークルを盛り上げ、学内に留まらず、幅広い学外活動を繰り広げ、その上さらに、私達後輩の相談にも快く乗ってくださいました。大学行事では、自分たちの仕事をこなしながら、よりよいものになるよう工夫を重ねていく姿が、いつでも私たちの目標でした。また、社会保育学科の皆さんは、一期生として児童学科の伝統を引き継ぎ、そして社会保育学科としての新しい取り組みをたくさん企画・運営してくださいました。私たちはその新たな試みに挑戦し続ける先輩の背中から、数多くのことを学ばせていただきました。

 先輩方と共に過ごした日々は、かけがえのない思い出です。

 学習面においても、実習や試験に向けて朝早くから夜遅くまで真剣に努力し、お互いに励まし合い、高め合う姿を尊敬していました。講義が終わっても、演習室や図書館で熱心に学業に励む皆さんの姿は、私たち在学生に、自らの描く将来を実現することの大切さや厳しさを示してくださいました。

 卒業生の皆さんは、常に私たちの先を行き、充実した大学生活を過ごされたかのように見えました。そんな皆さんにも、時には立ち止まったり、悩んだりしたことがあったのではないでしょうか。学業やサークル活動だけでなく、人間関係にも悩み、苦しい思いをされたことと思います。しかし、どんな困難に対しても、逃げることなく一生懸命に取り組まれてきた先輩方の姿を見てきました。私たちは、先輩方が残してくださったその姿を伝統として受け継ぎ、より高めていきたいと思います。

 今、世界では予測のつかない困難に直面していますが、大学で培った知恵や仲間と結束して立ち向かい、乗り越えられることができるのではないかと思います。

 この名寄市立大学での思い出は、いつの日も皆さんにとって心の支えとして在り続けることでしょう。卒業後も名寄市をはじめとした地域の多くの方々、皆さんのご家族、教職員の方々、そして私たち在学生、多くの人々が皆さんと共にあり、ここまで歩んできたことを忘れないでください。時には母校を訪ね、元気なお姿を見せて頂けると嬉しく思います。

 最後になりますが、卒業生の皆さんのご健闘とご活躍をお祈りし、感謝の気持ちと共に送辞とさせて頂きます。

令和2年3月19日
名寄市立大学在学生代表
保健福祉学部 社会保育学科 東叶恵

答辞

令和元年度 卒業証書・学位記授与式答辞

保健福祉学部 社会保育学科 田中 佑歩

 冬の寒さが厳しい名寄にも、暖かい陽射しが降り注ぐ季節となりました。春の訪れを感じる今日の良き日に、私たちは卒業を迎えることができました。本来であれば、卒業式を通して皆様にお礼を申し上げるところでありますが、今般の世界的なウイルス感染拡大の影響により、このようなかたちでお伝えすることになりました。とても残念ではありますが、これまでお世話になりました名寄市長加藤剛士様をはじめとした名寄市の皆様、名寄市立大学教職員の皆様、後輩の皆様、そして大学生活を応援していただいた家族の皆様に卒業生を代表して、心よりお礼を申し上げます。

 今、名寄で過ごした4年間を振り返ると、自分にとってかけがえのない貴重な時間であったと感じております。

 私は、オープンキャンパスに訪れた際、児童学科の先輩たちの保育をとことん楽しみながら学んでいる姿に刺激を受け、「自分も先輩たちのように学び、自由に楽しく保育をしたい」と感じて、名寄市立大学社会保育学科の一期生として入学しました。大学での日々は、学びたかった保育と存分に向き合える充実感を感じる一方で、正解がない保育についての考え方の多様さに戸惑い、難しさを感じる毎日でもありました。また、先輩たちが卒業した後には、自分たちで社会保育学科としての土台を作っていくことに苦労したこともありました。

 しかしどんな時も、先生方の励ましや共に学ぶ仲間の存在に支えられ、乗り越えることができました。講義で子どもや保育、またそれらを取り巻く環境や制度について沢山のことを学び、実習で現場を知って得たことや課題を伝え合い、さらにゼミではお互いを励まし刺激を受け合いながらそれぞれの研究に取り組みました。時には夜遅くまで作業をしながら保育への思いや意見を交わしたりもしました。そのような時間を過ごしていく中で、少しずつ保育に対する自分なりの考えを見つけていくことができ、今では仲間たちと過ごした時間がかけがえのない財産となりました。また、地域の方々が授業やボランティアの際に私たちを温かく受け入れてくださったことも、生活の中での安心感や充実した経験に繋がりました。

 さらに、この4年間で私は、自分が自由に、子どもたちにとっても楽しい保育をするための基礎には沢山の学びが詰まっているということを知りました。自由に何かをするためには自分に沢山の引き出しが必要で、自分の学びがあってこそ、自由な保育が実現できると。そしてその大切な基礎を4年という時間をかけて深めることができたことは幸せなことだったと、感謝しています。

 社会保育学科の先生方は「完璧ではない楽しさ」という言葉をよく使われていました。初めは理解できませんでしたが、今では、それは「思考する楽しさ」であると考えることができます。学問としての保育、また実践を踏まえての学びを通し、これまで保育について思考してきた時間を大切に、思考する楽しさを持った学び続ける保育者として成長していきたいと思います。

 栄養学科、看護学科、社会福祉学科のみなさんも、学びを深め学ぶ喜びを感じてきたことと思います。また、国家試験へ向けて夜遅くまで努力を重ねるみなさんの姿に私たちも励まされました。私は、他学科を含めた様々な分野の人たちとの交流があったことでより一層、自分の学びの視野を広げることができたと思っています。就職先には、実習で出会った知的障害児の支援施設を選びました。これからは保育についての学びを大切にしながら、保育所や幼稚園だけではない保育に繋がる分野で力を発揮し、地域の人たちや子どもたち、今まで支えて下った方々に恩返しができるよう、頑張っていきます。

 学科ごとに専門分野は異なりますが、人や地域を支える志をもち、勉学のみならず、サークル活動やボランティア活動に力を入れてきたこと、常に学び続けることの重要性は共有していると思います。

 これから私たちはこの大学で学び、身に付けた専門性と、仲間と過ごした日々を糧に新たな道へ進みます。そこには多くの困難が待ち受けているかもしれません。まさに現在も、社会で私たちが経験したことのない深刻な状況が続く中、多くの混乱が起きています。しかしこれまで互いを受け止め、共に考え、学び合ってきた名寄市立大学の私たちだからこそできることがきっとある、乗り越えていけると確信しています。また、私たちが名寄市立大学の卒業生としてこれからの保健、医療、福祉、保育の未来を切り開く人材なのだという信念を忘れずに、いかなる困難にも立ち向かっていきます。

 最後になりますが、本日こうして卒業を迎えられるまでに支えていただいた全ての方々に感謝申し上げるとともに、名寄市および名寄市立大学のさらなるご発展をお祈りいたしまして、答辞と代えさせていただきます。

令和2年 3月19日
名寄市立大学卒業生代表
保健福祉学部 社会保育学科 田中 佑歩

市長祝辞

祝 辞

名寄市長 加藤剛士

 令和元年度名寄市立大学卒業証書・学位記授与式に当たり、お祝いの言葉を申し上げます。

 名寄の豊かな大地も雪解けが進み春の息吹が感じられる今日の良き日に、卒業の栄誉を受けられました皆様、ご家族、保護者の皆様、誠におめでとうございます。

 心からお祝いを申し上げますとともに、佐古学長を始めとする先生方、関係者の皆様のご努力が実を結び、優秀な人材を社会に送り出していただけますことに心から感謝を申し上げます。

 名寄市立大学は、開学以来、本市の発展に大きく寄与しております。

 これからの時代は、新たな視点で創造的に問題を解決できる人材が求められておりますが、名寄市立大学には、今後とも社会や地域が必要とされる人材を育成していただくとともに、地域における高等教育の拠点として、その機能を十分発揮していただきたいと考えております。

 卒業生の皆様は、これから様々な夢や目標に向かって社会へ旅立たれますが、それぞれの道に進まれましても、仲間達と共にここで学んだことを誇りに持ち、その実力を存分に発揮され、自らの手で価値ある未来を掴み取っていただきたいと思います。

 また、皆様が高い志を持って、社会を担うリーダーとして幅広い分野で大いに活躍されますことを心から期待しております。

 名寄市としましても、皆様がいつまでも誇りに思えるような名寄市立大学、そして、名寄市であるようより一層努めてまいりますので、卒業生の皆様におきましては、名寄市立大学の同窓生として後輩に、またさらなる発展を遂げようとする母校に、そしてこの名寄市に温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 結びに、今日までご指導に当たられました諸先生方並びに関係機関の方々に深く敬意を表しますとともに、卒業生、ご臨席の皆様のご健康とご多幸を心からお祈り申し上げ、お祝いの言葉といたします。

名寄市長 加藤剛士

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