髙阪 悌雄 教授(社会福祉学科)が単著「障害基礎年金と当事者運動-新たな障害者所得保障の確立と政治力学」を刊行しました。
業績概要
論文・書籍等の区分 |
単著 |
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本学執筆者 |
髙阪悌雄 |
論文・書籍名 |
障害基礎年金と当事者運動-新たな障害者所得保障の確立と政治力学(単著) |
著者名(著者一覧) | 髙阪悌雄 |
搭載誌名・出版社名 | 明石書店 |
内容要旨 |
1986(昭和61)年4月に施行された「国民年金法等の一部を改正する法律」では、わが国の公的年金の仕組みが基礎年金と被用者年金の2階建て構造となり、主に給付抑制と保険料の引上げを伴う改革により多くの国民にとって痛みを伴うものであった。一方で、こうした縮減策と同時に、障害基礎年金が誕生し、障害福祉年金の大幅な改善が行われた。 本書では、臨調行革下にあって財政支出抑制施策が進められる中、保険料を拠出した者と、幼い頃から障害を持ち保険料無拠出の者とが、本来の保険の原則を超えて、障害基礎年金として同額給付が行われるに至った背景を明確にしていく。そのため本書では、障害者団体の機関誌や政府刊行物等の歴史的な記録資料の解読を進め、官僚や政治家、障害当事者等へのインタビューを行った。さらに明らかにされた新たな知見を基に非難回避戦略モデルを用いた分析を行っている。 結果として縮減策であった「国民年金法等の一部を改正する法律」を成立させるため、政党間の合意形成のための代替手段として、障害基礎年金の役割が明確になったほか、合意形成に資することのなかった多くの障害当事者の要求は先送りされたこと等も明らかになった。 国内においては初めてともいえる障害当事者と政府の交渉の結果誕生した障害基礎年金は、その成果とともに多くの課題を残すものであった。 |
